都市デザインセミナーVol.009 レポート

これからのパブリックスペースの
つくり方/ そだて方/ つかい方

実施概要

日 時:令和 2 年 11 月 14 日(土) 14:00〜17:30
場 所:①ののあおやま ②MIYASHITA PARK
主 催: (一社)ランドスケープアーキテクト連盟 (JLAU)
講 師:①ののあおやま
・水野成美 氏(市街地開発㈱ 専務取締役 ㈱たりたり 代表取締役社長、一般社団法
人まちづくりののあおやま理事)
・平賀達也 氏(株式会社ランドスケープ・プラス 代表取締役)
②MIYASHITA PARK
・伊藤雅人 氏(株式会社日建設計 都市部門 PUBLIC ASSET LAB アソシエイト)
・三井祐介 氏(株式会社日建設計 所属部署不明)
・大塚晃一 氏(宮下公園パートナーズ 所長)
参加者:現 地:27 名(講師・スタッフ含む) オンライン:23名(スタッフ含む

セミナーの内容について

当セミナーでは、コロナ禍の中で竣工を迎えた「ののあおやま」、「MIYASHITA PARK」といった、2 つの都市型ランドスケープの事例見学会を行いました。どちらも公共の空間を民間が活用した事例ですが、パブリックスペースの捉え方にそれぞれの特徴がある中で、計画に携わった設計者と運営管理者をお招きして、これからのパブリックスペースのつくり方、そだて方、つかい方についてのお話を伺い、質疑による講師との対話も交えることにより、理解を深めることが出来ました。
また、今回は新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、都市デザイン部会では初の試みとして、現地見学とオンライン中継の併用による見学会とさせて頂きました。

見学会の様子

①ののあおやま

「ののあおやま」では、運営についてのお話を水野氏に、設計についてのお話を平賀氏よりお伺いしました。
水野氏からは、まちづくりを実施するにあたって「一般社団法人まちづくり ののあおやま」が発足し、街区内の維持管理や「ののあおやま」を中心としたエリアのエリアマネジメントなどを行っていることについてご説明頂きました。また、「㈱たりたり」によって運営されている「地域交流拠点 まちあい」を中心に、地域にとっての交流や憩いの場として利用して頂きたいという思いについてもお話頂きました。地域にとってのお母さんのような立場になりたいというお気持ちについてもお話し頂き、その思いの強さに感激致しました。
平賀氏からは、設計にあたっての工夫として、森を作るという観点から自然素材である木材や石材を多用することにより自然に近づけているとのお話を頂きました。また、園路の舗装については、アスファルト舗装と木材を混合し、透水性にも優れる環境に配慮した木質アスファルト舗装を使用するなど、自然に対する配慮と細かい工夫についてお話頂きました。以上のようにお話を伺った中で、運営者としての地域に対する思いと設計者としての細やかな工夫が合わさることによって、都市部の中でもこんなにも豊かな自然環境と地域の為のパブリックスペースが創出できるのだと感じました。

②MIYASHITA PARK

「MIYASHITA PARK」では、運営や維持管理についてのお話を大塚氏に、計画や設計についてのお話を伊藤氏、三井氏にお伺いしました。
大塚氏からは、施設の機能や利用実態、維持管理についてお話頂き、特に植栽管理の工夫については、都市部の中でも人気のスポットとなり、多くの来園者が訪れる中で、芝生の見栄えや踏圧への耐性を考慮し、芝生の種類を変更するなど今後調整する必要があるとお話頂きました。また、お話頂いた中でも驚いたのが、「MIYASHITA PARK」のスターバックスは、全国でも一番の売り上げを誇っているというお話で、見学会中も多くの方が列をなしていました。
伊藤氏、三井氏からは、都市計画的な仕掛けとデザイン手法についてお話頂き、都市計画的な仕掛けとしては、「PPP(パブリックプライベートパートナーシップ)」として官民連携による 30 年間の定借事業により公園再整備が行われたこと、公園を建築物の上に整備することが可能となる「立体都市公園制度」を適用することで、都市計画公園、都市計画駐車場、商業施設を一体的に整備することが可能となったというお話を頂きました。
以上のお話を伺った中で、渋谷らしい施設整備と活用方法、運営と維持管理の手法が施されており、今後の都市部の公園の新たな活用方法とあり方も示すような事例であると感じました。

まとめ

今回のセミナーは、都市デザイン部会では初の試みとなる、現地とオンラインの同時開催となりましたが、それぞれの視点から感じられたこともありました。そこで、現地とオンラインのそれぞれのスタッフが感じたことを以下にまとめました。

(現地からの視点)

セミナー開催にあたって、オンライン側との事前の調整や接続の確認等など大変なことはたくさんありました。オンラインでの講師との距離感は常に目の前ということになりますので、そう言った意味では、現地よりも全ての参加者が同条件で受講しやすい環境であると感じました。

(オンラインからの視点)

オンラインでの有料配信ということもあり、スタッフとしては気の抜けない 3 時間となりました。
昨今の新型コロナウイルス感染症の影響を受け、多くのセミナーはオンラインセミナーへ移行しつつあります。オンライン上で講師と現場を巡ることが出来るということは、今までにない参加のかたちをつくりだす大きな 1 歩になったのではないでしょうか。
そして改めてテレビの生中継の凄さを体感したのでした…

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