【ROADTO 2023 」LAU が掲げる3 つのテーマオンラインセミナー】Green Infrastructure vol.01
「Landscape Architect x Green Infrastructure」
実施概要
日時|令和3 年1 1 月24 日(水)
会場|オンライン(ZOOM ウェビナー)
登壇者|丹部ー隆氏、中村昌史氏(MESH 景観設計事務所)
篠沢健太氏(工学院大学)、武田史朗氏、(千葉大学)
参加者|118名(登壇者、スタッフ含む)
主催|(一社)ランドスケープアーキテクト連盟
JLAU は2023 年に日本で開催する国際会議「I FLA-APR 大会」に向け、メインテーマである「Living with Disasters/自然とともに生きていく」を支える3つのテーマ「Green Infrastructure」「Well-being」「Landscape Culture」に即したオンラインセミナーシリーズを開催しています。
「Green Infrastructure」をテーマとした本セミナーでは、ドイツと日本の2 拠点に事務所を開設し、活動しているMESH 景観設計事務所の丹部一隆さん/中村昌史さんをお迎えし、ランドスケープアーキテクト連盟副会長の篠沢健太氏と同連盟の武田史朗氏を交え「Landscape Architect x Green Infrastructure」の視点での対談とJLAU技術委員会若手メンバーとの意見交換を行いました。
Step1
MESH景観設計事務所によるドイツのGI (グリーンインフラ)に関する動向紹介
独においてGI がどのような政治的な背景や流れで位置づけられてきたかご説明頂きました。EUのGI戦略やEU内での急速な開発に対する危機感等、国土を取リ巻く様々な社会情勢の中でGIの諸制度が整備されてきた流れ。
自然保護計画とGIの考えを整合させる自然保護庁の取組みでは、独ランドスケープアーキテクト連合が参画し、資料が作成がされ、現在は各行政のコンペでもGIの観点がしっかりと組込まれている状況をお話頂きました。
国民のGI に対する理解認知度の点では日本と同様であり、独でも「一歩一歩」歩みを進めている現状を知ることが出来ました。GI を考える上で「ネットワーク化かつ多機能性」という視点を持ち、様々なスケールで捉え、ネットワーク化に向けて尽力する独の姿勢は今後の参考になったと思います。
MESH景観設計事務所による取組み
独ハノーファーで学んだ丹部氏、中村氏が他ドイツ人2人と共に事務所を立ち上げ、様々なコンペなどに挑んでいる状況をご説明頂きました。ケルンでの取組み、バーゼルでの鉄道跡地の公園コンペにおけるBIOTOPEネットワークコンセプト、ハノーファーの住宅地内での道路の広場化による周辺オープンスペースのネットワーク化と住民の憩いの場づくり。東京武蔵野市のバスターミナルを含む小スケールの敷地を単なる交通施設から人の居場所となる街の拠点として再整備した事例をご紹介頂きました。
Step 2:MESH X 篠沢健太氏・武田史朗氏によるクロストーク
MESHのお二人とJLAU篠沢氏、武田氏の4名による議論では、機能的なつながりを考慮したBiotopeなどに見られる独の特徴や環境情報に関する整備やその公開性、ランドスケープとGI の二つのストラクチャーに関しての捉え方?などに関して意見が交わされました。独では建築と自然保護の双方の法整備における整合を図っていく必要性を感じること。建築の法規にGI の視点を取込むべきとの声もある。また、開発推進と自然保護の質的向上のジレンマにGI が使われてる感があることや、独のコンペではランドスケープ提案の中で空間のオリエンテーションを如何につくるかが問われることなどを伺うことが出来ました。MESH の取組みからは、人が生活空間に求める緑の空間に対するイメージや公共空間(ひとの居場所)に対する捉え方が良い意味で幅があり、様々なスケールに応じた取組みがなされていると感じたとの意見が出されました。
Step 3:JLAU Green infrastructure 若手メンバークロストーク
GIについて日頃から委員会にて議論しているJLAU 若手メンバーが加わり、MESH のお二人と意見交換を行いました。河川は土木分野との固定的/縦割り的な認識がまだまだ一般的な日本の現状において、ランドスケープアーキテクトがもっと参画活躍できる余地があるのではないか?との意見が出されました。独でも同様な状況はあるものの、GI の動きはLA の職域拡大には有効に感じること。ネットワーク化などを展開するには、周辺分野や他分野とのよリ一層の協働が必要になるため、「GI」という共通言語が出来たことは有効な点ではないかとの見解が示されました。独のランドスケープアーキテクトの実務に関する話題では大きな紙を使って考える姿勢が紹介され、ものの考え方や捉え方に影響を与えていることを知る機会になりました。
質疑応答:セミナー参加者より
セミナー参加者からはグリーンインフラと流域治水との違い? GIは土木的な考えではないか?など様々なご意見ご質問を頂きました。最近の独ではGIの影響からか、レクリエーションの視点や生物多様性への視点など様々な視点からの取組みが求められてきている。例えば使える堤防づくりのようなことも話題に上がっていること。独でも昨今の洪水被害、温暖化による夏季の気温上昇などが見られ、都市計画的にも見直す必要性や動きが求められつつある状況をお聞きすることが出来ました。
視聴者の皆様、MESHのお二人ありがとうございました。
Green Infrastructure vol. 02 もどうぞご期待ください。
文責:技術委員会委員長 岩井洋