【ROAD TO 2023 JLAU が掲げる 3 つのテーマ オンラインセミナー】 Landscape Culture vol.01

「ランドスケープ × 文化 × テクノロジー」

実施概要

 日 時|令和 3 年 8 月 10 日 ( 火 )
 会 場|オンライン (ZOOM ウェビナー )
 登壇者|伊勢 武史 氏 ( 京都大学 フィールド科学教育研究センター 准教授 )
     平賀 達也 氏 ( 株式会社ランドスケープ・プラス 代表 )
 参加者|128 名 ( 登壇者、スタッフ含む )
 主 催|( 一社 ) ランドスケープアーキテクト連盟

JLAU は 2023 年に日本で開催する国際会議「IFLA-APR 大会」に向け、メインテーマである「Living with Disasters/ 自然とともに生きていく」を支える 3 つのテーマ「Green Infrastructure」「Well-being」「Landscape Culture」に即したオンラインセミナーシリーズを開催しています。「Landscape Culture」による第一回目となる本セミナーでは、温暖化と生物圏との関係性を読み解くためコンピューターモデリングに取り組まれている京都大学の伊勢武史さんをお迎えし、ランドスケープアーキテクト連盟副会長の平賀達也とともに「ランドスケープ × 文化 ×テクノロジー」の視点で対談を行いました。

対談

伊勢さんによる研究内容紹介

まずは、伊勢さんよりご自身の紹介から対談が始まります。科学の真理の探究には、まるで機械のように、人の私見や感覚を排除し、定量化されたデータを客観的に扱う姿勢を理想とされているといいます。また、炭素循環のシミュレーションや人工知能による植生の判別といった最新技術を用いた研究内容のお話や、アートの側面から市民と生態系の在り方を考える「外来種いけばな」の活動をご紹介いただきました。文化や芸術も重視する伊勢さんの多面的な魅力が伺える内容でした。

研究者としての「文化」の位置づけ

ランドスケープとテクノロジーの関係性を探る中で、研究者としての文化の捉え方について議論が行われました。文化とは、農耕や牧畜のように、将来を見越して苦痛を伴う選択を行う人間特有の力であり、これこそが環境問題を解決するための能力だといいます。良い社会をつくるためには、国の風土に沿った文化を見直しながら、論理的な評価とエビデンスを活用していくことが求められています。

日本の特性と評価方法

日本は海辺に都市が広がり、山域に豊かな森林を有する構造が特徴的ですが、流域単位で CO2 収支を評価することができれば、山域の地方の多面的な機能を正しく評価できる可能性があります。また、スギ・ヒノキの占める割合が多い森林については、広葉樹林の CO2 固定などの多面的価値を再評価し、今一度、樹種構成のバランスを考え直すべきだといいます。国土の特性に合わせた評価方法や施策の在り方を考える機会となりました。

対談のおわりに

アウトプットの客観性を重視する一方、伊勢さん個人の人生としては直感を信じて選択をされてきたといいます。研究者と設計者、お二人のクリエイティブなマインドの共通性が垣間見えました。また、学生時代渡米されたお二人から、一度慣れ親しんだ生態系の外に出て、元の場所を客観視することの重要性を、若い人たちへのメッセージとしていただきました。

質疑応答:JLAU Landscape Culture チームより

JLAU Landscape Culture チームを代表し、ヘッズの野村はなさん、日建設計の須藤伸孝さんより質疑を行いました。まず、グローバルとローカルの両方の視点から、テクノロジーを設計に展開する上での手法や継続性に関する質問に対しては、文化を継続させるための金融の仕組みとリテラシーについての議論が展開されました。次に、デザインされた緑化の価値と評価方法についての質問に対し、人工知能により評価の解像度を上げていくことで、都市の特殊緑化においても適切な生態的な機能の定量化が可能であることが伺えました。

質疑応答:オンラインセミナー参加者より

当日ご参加いただいた方々から多数のご質問をいただきました。科学者としてリテラシーやクリエイティビティ
については、アメリカにおけるビッグデータに基づいたデータ駆動型科学の潮流をお話いただきました。また、
進化心理学については、進化の過程の中で培われてきた直感の重要性、老年的超越やエイジングなど、多
岐にわたる内容をご説明いただきました。

質疑応答でのディスカッション

さいごに

今回は「JLAU が掲げる 3 つのテーマ オンラインセミナー」第一回目として、テクノロジーの視点からランドスケープと文化の関係性を改めて考える機会となりました。視聴者の皆様、対談を快諾頂いた伊勢武史様、登壇者・運営チームの皆様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。今後のセミナーもどうぞご期待ください。

(文貴:坂本幹生)

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