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JLAU観光部会フィールドワークVol.12

山岳高原リゾート研究 〜那須高原の光を観る〜


日時:2023年7月1日(土)~2日(日)
場所:栃木県那須塩原市
主催:(一社)ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)
参加者:10名

[概要]

 

我が国の「山岳高原リゾート」のあり方を考えるにあたり、都心からアクセスがよく、魅力的な自然資源を持った群馬県みなかみ町を対象に、2022年10月にフィールドワークを実施しました。みなかみ町でのフィールドワークを実施した結果、山岳高原リゾートとしての振興に向けて、以下の複数の課題を認識(・設定)しました。

・長期滞在に適した施設の充実
・来訪者の利便性確保に向けた二次交通の整備
・河川や自然林の眺めを楽しめる施設の整備
・好立地な場所に残された廃墟の撤去・活用
 また、今後施策を検討する際の留意点として、次の点を設定しました。
・競合地域との差別化を図ること
・季節ごと入込客数の平準化を図ること

 みなかみ町の課題解決に必要な施策実施の参考とするため、上記課題および留意点を念頭に置き、2023年 7月に栃木県那須塩原市を対象にフィールドワークを実施しました。

[フィールドワークの様子]


 1日目(7/1)
⚪︎アートビオトープ水庭
 那須塩原駅で集合し、レンタカーで「アートビオトープ水庭」に向かいました。
 アートビオトープ水庭は、約16,000㎡の敷地に樹木や池、石を配したメディテーション空間です。来訪者は飛び石の上を歩きながら、樹木の姿や池の水面に映り込んだ樹木の姿を眺めることができます。ガイドの方による説明を聴いた後、各自散策しました。
 周辺の樹林と樹種は同じでありながら、自然林とも二次林とも異なる空間は、地域への誘客促進に寄与するアートコンテンツの事例と感じました。

HP  https://www.artbiotop.jp/
住所 栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-3


⚪︎リゾナーレ那須
 
 リゾナーレ那須は、地域の生産活動に触れる体験と、リゾートホテルでの食事やアクティビティなどを組み合わせたアグリツーリズモリゾートをコンセプトとしたリゾート施設です。敷地内には水田やハウスがあり、オリジナルブレンドのハーブティー体験、収穫した野菜を用いたピザづくりなど複数のプログラムが用意されています。
 施設の担当者からご説明をいただき、水田やハウスを管理する上での雑草等への対処など特有の課題のほか、今後の事業展望や建物管理など、リゾート施設の運営における課題について理解を深めました。

HP   https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonarenasu/
住所 栃木県那須郡那須町高久乙道下2301

⚪︎GOOD NEWS NEIGHBORS

 GOOD NEWS NEIGHBORSは、アウトドアギアの店舗やカフェなど全9店舗が軒を連ねる施設です。店舗の南側には、木チップが敷かれた広場空間のほか、散策路が整備された樹林があります。
 訪れた日はマルシェが開催され、屋外では地域の野菜などを求める人々で賑わい、屋内では木々を眺めながらゆっくりと過ごす人々の姿が見られました。事業者は就業支援にも取り組み、持続可能な観光地域づくりを実践する事例でした。

HP  https://gooooodnews.com/
住所 栃木県那須郡那須町高久乙24−1

⚪︎NASU 661 WINE HILLS

 2022年 7月にオープンしたワイナリーです。耕作放棄地や別荘跡地で栽培されたぶどうを用いたワイン販売の他、建築廃材となった大谷石の再利用や、別荘で不要となった家具の再利用等、地域特性を踏まえたサスティナブルな取組みを実践しています。
 訪れる客に対しては、オーナー自ら、気候変動がぶどう栽培及びワイン製造に与える影響や、那須の地域特性やテロワールについて説明していました。持続可能な観光な観光地域づくりや農産物の高付加価値化を実践する事例でした。

HP  https://www.nasu661winehills.net/
住所 栃木県那須郡那須町高久丙4515−13

⚪︎鹿の湯 

 鹿の湯は7世紀前半、約1300年前に開湯されたといわれる温泉です。昭和16年に改築された建物は、その姿を今に残しています。鹿の湯周辺には県道沿いに旅館が点在する程度で、みなかみ町湯原の温泉街等とは規模や形態が異なる様子でした。

HP  http://www.shikanoyu.jp/
住所 栃木県那須郡那須町湯本181


 2日目(7/2)
⚪︎那須温泉神社、殺生石を見学

 鹿の湯近傍の駐車場から、徒歩で那須神社へ向かいました。神社の参道西側には遊歩道が整備され、木々の中を歩くことができます。那須温泉神社の近傍には国指定名勝の殺生石があり、那須温泉神社からは殺生石の全景が眺められます。神社から殺生石へ通じる山道を経て、眼前には硫黄の香りが漂う、別世界のような眺めが広がっていました。殺生石付近では、ガイドの方が来訪客にその歴史等について説明していました。
 鹿の湯を含め、那須温泉神社や殺生石など温泉に関わる資源と一体となって、地域固有の歴史・文化・風土が感じられる空間でした。

HP  https://nasu-yuzen.jp/
住所 栃木県那須郡那須町湯本182

⚪︎那須ロープウェイ

 那須ロープウェイは、那須連山の主峰である茶臼岳(1915m)の9合目付近までアクセスできるロープウェーです。111人を輸送するゴンドラを2基備え、20分間隔で運行しています。ベビーカーや車椅子でも山頂展望台までアクセス可能です。当日は小さい子供をつれた家族も多く訪れており、幅広い世代に親しまれていました。
 ゴンドラ内では、乗務員による解説が行われます。往路では、当日の気象状況や窓越しに見える眺め、飛翔する鳥の解説など、山頂への期待感を高める内容でした。また復路では、ロープウェイが映画の撮影が行われた際のこぼれ話等、また訪れたいと思わせる内容でした。一方、訪れた際は、山麓駅周辺にある3カ所計150台分の無料駐車場は満車であり、混雑の平準化・解消は課題と感じました。

HP  https://www.nasu-ropeway.jp/
住所 栃木県那須郡那須町大字湯本字那須岳215

⚪︎那須平成の森

 那須平成の森は、大正15年に設置された那須御用邸の一部でした。そのおよそ半分の約 560haが上皇陛下御存位20年の機会に、宮内庁から環境省へ移管され、平成23年 5月に那須平成の森として開園しました。フィールドセンターを拠点として、インタープリターが様々なプログラムを実施しています。インタープリターは、その時その場所の自然が発するメッセージを、来訪者にわかりやすく伝える専門家を意味します。
 森の中を歩きながら、生息する動物の痕跡や樹木等を観察し、地域の自然に関する理解を深めました。インタープリターによるガイドツアーは主として予約制であることから、事業者側は需要を把握しやすく、来訪者側は、質の高い自然体験活動が可能となるため、サービスの生産性を高まっていると感じました。

HP  https://nasuheisei-f.jp/
住所 栃木県那須郡那須町高久丙3254

⚪︎ペニーレイン

 那須町に本社を置くベーカリーのレストランを見学しました。樹木に囲まれたテラス席で食事を楽しむことができます。ドッグランも併設していて、ワンちゃんと訪れる客も多く見られました。

HP  https://pennylane.company/pennylane_r_nasu
住所 栃木県那須郡那須町湯本656−2

⚪︎ショウゾウカフェ
 
 JR黒磯駅から少し離れた通りにある、カフェを見学しました。ここでは、カフェでの飲食提供のほか地産品販売コーナー、2階ゲストハウスダイニングがあります。また、周辺建物を活かし、複数事業者と連携した衣料品・古道具・生活雑貨販売も展開しており、路地一帯のエリアで多様なもの・ひと・ことに出会う場所となっています。お客さんはそれぞれ買い物、店先のテラスでまったりコーヒーを飲んでくつろぐ姿が見られました。

HP  http://www.shozo.co.jp/
住所 栃木県那須郡那須町高久乙2730

⚪︎那須塩原市図書館みるる 

 那須塩原市図書館みるるは、集約型都市構造の形成のため、中心拠点誘導施設として、JR黒磯駅西口に整備された図書館です。図書館には書架だけでなく、ホールやカフェ、学習ブースやラウンジのほか、展示スペースやテラスを備えていて、地域の交流拠点となっています。訪れた当日も学生を中心に多くの方に利用されていました。

HP(SNS) https://www.instagram.com/nasushiobara_miruru/
住所    栃木県那須塩原市本町1−1

⚪︎那須塩原市まちなか交流センターくるる

 那須塩原市まちなか交流センターくるるは、中心市街地活性化等を目的として「人と食を育む交流の家」をコンセプトに2019年 7月に整備された施設です。JR黒磯駅西口から北西に延びる黒磯本通りに面して立地するガラス張り平屋の施設で、展示スペースやキッチンスタジオ、音楽室、ステージ、キッズエリア、フードコートなどを備えています。訪れた当日も、地元のミュージシャンによるコンサートが行われ、多くの人で賑わっていました。

HP(SNS) https://www.instagram.com/nasushiobarakururu2019/
住所    栃木県那須塩原市本町6−32

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