庭園文化セミナーVol.20【客殿庭園の美学ー実相寺客殿庭園「壱天四海の庭」を訪ねるー】
実施概要
- タイトル:JLAU庭園文化セミナーvol.20 客殿庭園の美学 実相寺客殿庭園「壱天四海の庭」を訪ねる
- 開催日時:2022年10月15日 2部制
- 見学場所:埼玉県川口市 実相寺
- 講 師: 松永慈弘(実相寺住職) 桝井淳介(桝井淳介デザインスタジオ)
- 参加者 :30名(講師含む)
JLAU会員5名 一般19名 学生6名
今回のセミナーは日本を代表する庭園見学を通じて、わが国固有の庭園文化や技術に触れる連続セミナーのNo20となります。
2021年度の造園学会賞を受賞した、実相寺客殿庭園「壱天四海の庭」を見学し、施主である実相寺住職松永慈弘氏と設計者桝井淳介氏より作庭時の状況や庭に込められた思いを解説して頂きました。
―松永住職からの法話―
住職の松永氏より法話を頂きました。庭園を絡めた法話により、人と人のつながりや遠く離れた場所での事が身近に関連していることなどお話しいただきました。この庭園が寺院客殿の庭として普段どのような利用をされているのかを参加者皆さんが体感することができました。
―人を巻き込む庭園づくり―
桝井氏からは設計意図、および作庭中心がけていたことをお話し頂きました。一通りの空間構成についての説明ののち、いかに施主を庭園づくりに巻き込んでいったのかを説明頂きました。設計段階はもとより、材検(石材、樹木)、施工中の現場立会など積極的に施主へアプローチをし、共に作り上げていく感覚を共有することが大事であるということ。そしてそれを行うことにより、より施主の庭園への愛着が増していくことを桝井氏、松永氏との対話の中で感じることができました。
―未来につなぐ―
実相寺では青少年の健全育成のためのイベントを定期的に開催しています。そこでは季節ごとの行事を行い、より子供たちに寺院が身近なものに、そして困ったときに気軽に相談できる場となるような活動です。その一環として桝井氏を招き、庭園の説明やミニ盆栽、コケ玉づくりなどの土や植物に触れる機会を設けています。お寺と共に日本庭園という文化が子供たちの身近なものになり、やがては庭園ファンが増えていくということが庭園文化を未来に残していくためには必要なものだと思いました。 来場者からは空間構成についてや景石が何を意図するか、どのように材料を決めていくかなどの質問があり、講師の方々がひとつひとつ丁寧に答えていました。
(文責 井出)